
「大会前にメンバー2人がコロナになり、試合に出られなかったんです。北照に勝てば戻ってこられるとわかっていたので、力が入りました」
6−4で強豪に初勝利し、チームは11年ぶりの4強入りを果たす。しかし全員がそろった準決勝で、札幌大谷に完敗した。
「甲子園には出られなかったけど、やり切った感のほうが強かったです。渡辺先生が日ごろからおっしゃっていた『負けたあとに何が残るかが大切』という言葉どおり、一緒に練習してきた明るく楽しい仲間たちと、充実感のようなものが残った。もし苫小牧中央に行ってなかったら、プロに入れていたかどうかもわかりません」
急成長した〝未完の大器〟を広島カープが1位指名。新井貴浩監督が同校に挨拶に訪れた際、斉藤は開口一番聞いている。
「広島のおすすめのご飯は何ですか」
あっけらかんと監督に聞ける〝強心臓〟もピッチャー向きだ。
公式戦の初登板は、5月24日のウエスタン・リーグのオリックス戦。いきなり初球に151キロを出すも、1イニングで本塁打を含む被安打3、2失点のホロ苦デビューだった。
「緊張は特にはしなかったです。ストレートの質や変化球の制球などが課題です。新井監督には『焦らなくていい』と言われましたが、1軍を目指して頑張りたいです」
どさん子の〝北の大輪〟はゆっくりと根を張り、美しい花を咲かせる。
(守田直樹)
※AERA増刊「甲子園2023」から