孤独・孤立を解消するにはどうすればいいか。
石田教授はまず、「結婚と雇用が重要」と話す。
「国が推し進める少子化対策とも関係しますが、未婚のままだと家族という安定したつながりを持てなくなります。雇用は、社会との接点をつくる上で重要。さらに行政ができる孤独・孤立対策として、子ども食堂のように気軽にアクセスできる『居場所』の網を幅広く張っておくことも大切です」
「みんな違っていい」
その上で、人間関係は「弱い紐帯(ちゅうたい)」でいいと言う。強い絆の間柄より、弱いつながりの人からの情報の方が有益で新規性の高い刺激をもたらしてくれるという概念だ。
「普段はそれほど強くつながっていなくても、何かあった時に『オン』になれるつながりです。また初めから友だちをつくろうと思うのでなく、ひとまず人がいる場所に行き、だんだん話せるようになり『友だち』と呼ぶくらいがいいと思います」(石田教授)
東洋大学の桐生教授は、ソーシャルボンドをつくるために、社会から必要とされていると思える「居場所」が必要だと話す。
「ボランティアでもいいので、例えばパソコンが得意であれば子どもたちに教えるのも一つです。社会に対し自分は貢献できているというやりがいを持てれば、社会的な絆も強まってきます。そうした居場所を用意することが重要になります」
教育学者で千葉大学の明石要一名誉教授(教育社会学)は、教育の大切さを説いた。
「幼少期から思春期を迎える9歳までに『みんな仲良くみんな一緒』ではなく、『一人ひとりみんな違っていい』と、学校や保護者が子どもにしっかり教えることが重要です」
孤独や孤立は、人を追い詰め、犯罪への抑止力を損なうだけではない。社会の分断が進み、追い詰められれば自殺にもつながると指摘される。対策は、まったなしだ。(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年8月14-21日合併号より抜粋