週刊朝日 2023年3月31日号より

 見積もりを依頼する際には、スタッフの応対や態度を見て、安心して任せられそうかどうか判断すると良い。わからないことは何でも質問し、その回答の仕方から検討するのも一つ。「決まったことしかやらない」という姿勢ではなく、相談しながら進められる相手だと安心だ。

「業者を選定する際は、費用だけで比較検討せず、安心感を持って任せられるかどうか、自分の視点でしっかり判断して。家の中に見ず知らずの他人を入れるのはハードルが高く、大切な家財の整理を依頼するならなおさらです」(同)

 そして、気になるのがお金の話。国民生活センターの調査(2018年公表)によれば、遺品整理サービスの平均契約金額は約42万円、実際に支払った平均金額は約30万円とされる。なお、支払い手段の9割以上が即時払い(現金等での一括払い)だ。費用は内容や整理を依頼する場所の範囲によっても大きく変動するため、事前に依頼範囲を決めてから業者を探すと良い。

 上野さんの会社の基本料金体系(遺品整理・生前整理・家財整理共通)を挙げると、1K(作業員1人の場合)3万8500円から、1LDK(作業員3人の場合)8万8000円から、2LDK(作業員4人の場合)16万5000円から、3LDK(作業員5人の場合)22万円からとなっている(価格は税込み)。仕分け、梱包、搬出、清掃、車両代金など、すべての作業込みでの基本料金だ。

「料金の確認は、納得のいくまで行いましょう。見積書が出たら、明細が付いているかもきちんと確認し、具体的な作業内容やキャンセル料も含め、不明な点は確認してから契約することが大事。もっとも、きちんとした業者なら、具体的な作業内容や作業の手順は、見積書とあわせて説明するものです」(同)

 ニーズの高まりを受けて、遺品整理業者の数は増加傾向にあるが、その分、消費者トラブルも多い。もし業者とトラブルになった場合は、消費生活センターなどに相談しよう。

 家財整理は、できれば遺品にならないうちに着手しておきたいもの。新生活シーズン、片付けを始めるには良い時期ではないだろうか。(フリーランス記者・松岡かすみ)

週刊朝日  2023年3月31日号

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