登山部のある学校は全国で635校(男子)にすぎないこともあり、なかなかピンとこない人もいるだろう。日本山岳・スポーツクライミング協会に増加の理由を尋ねると「生徒の自然志向やサバイバル能力への関心の高まり」(担当者)などを挙げた。
「自然災害が増えたり、グランピングやキャンプの人気が高くなったりしたことで、登山の技術に興味を持つ生徒が増えているようです。山岳競技には体力だけでなく、地学や生物、気象、歴史など総合的な知識や応用力も問われる。指導やノウハウを引き継ぐ教員や先輩との関係性も重要になります。その点で、教育現場に合う面もあるでしょう。高校から競技を始めやすい点も、部員数が増えている要因の一つだと思います」
学校によっては、登山部にスポーツクライミングを含むところもあるとされる。高体連によれば「集計の仕方は都道府県ごとに違う場合があります」。スポーツクライミングは21年の東京五輪で正式種目になった。どのくらい寄与しているかは不明だが、その人気や関心の高まりも追い風になっている可能性がある。
反対に、男子部員数の減少率が大きかったのは柔道(44.8%減)やソフトボール(42.4%)、少林寺拳法(42%減)だった。
減少数が多かったのはテニス(2万2840人減)や剣道(1万151人減)、柔道(9119人減)で、武道系の競技が苦戦している。
この結果、部員数でみた「勢力図」にも変動が生じていた。
男子の部員数はサッカー(14万7086人)とバスケットボール(8万3625人)が1位、2位を占める状況に変わりはないものの、22年度はバドミントン(6万9118人)が陸上競技(5万9792人)を抜いて3位に、バレーボール(5万972人)が卓球(4万7187人)やテニス(4万2765人)を押さえて5位に、それぞれ浮上した。
登山(8237人)は15位で10年前と同じだったが、13位のラグビー(1万7649人)や14位の柔道(1万1247人)との差を縮めた格好だ。