自転車取り締まりは今後どうなるのか

「これまでは自転車の交通違反は赤切符で対応していたわけですが、刑事手続きですから、交付するのに供述調書の作成が必要になります。その場か警察署に同行してもらって作成するため、長いときは半日かかります。一方の青切符は10~20分で済むので、こういった手続きの簡略化の効果は大きいと思います」

 赤切符は交付後の手続きにも時間がかかるという。

「後日、裁判所に来てもらい、まず警察官が、違反内容に間違いがないかを確認するため取り調べをします。そのあと、検察官と裁判官が書類を確認するという手順を踏まなければなりません」

 そしてこう続ける。

「こういった手続きを踏んでも、起訴されるケース1~2%とかなり少ないです。当然ですよね、本来は青切符で対応するような一時不停止などに出しているわけですから」

 警察官として、交通事故を取り締まってきた経験のある谷さんは、「警察官には『何で青切符が切れないんだ』という歯がゆさがあったと思います」と話す。

「これまでは赤切符を切る警察官もいれば、警告書を交付したり、口頭での注意をおこなったりする警察官もいて、それぞれで対応していました。警察官も人ですから、正直言えば赤切符の交付は嫌なわけですよ(笑)。精神的な負担も大きかったですね」

 警察庁の検討会は、今月30日に第一回を開催。23年中に年4回程度の開催を予定しており、青切符の対象を自転車での交通違反者にまで広げた場合の運用方法や適用範囲などを話し合うという。

「これまでは、運転に免許が必要な車両に対して、制度が用いられていたわけです。しかし、対象が自転車にまで広がるとなると、取り締まりの年齢をどうするのか、運転免許を持っている人とそうでない人で、自転車で違反をした際の運転免許の点数をどうするかなども検討されていくのではないかと思います」(熊谷さん)

 警察庁は、道交法の改正案を来年の通常国会への提出を目指しているという。制度の変更で自転車事故を減らすことができるか。その動向が注目される。

(AERAdot. 編集部・唐澤俊介)

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