これから取り締まりを目にする機会が増えるかもしれない

 自転車にも「青切符」が切れられるようなるかもしれない――。警察庁が自転車の軽微な交通違反者に「青切符」で対応する方向で検討を始めたというニュースが話題を呼んでいる。

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 X(旧・Twitter)では、「自転車の交通違反」がトレンド入りし、「どんどん取り締まってほしい!」「厳しく取り締まるなら、自動車購入時に講習を義務付けるとかもセットでやって欲しい」など多くの意見が投稿されている。

 現状、軽車両を除いた車両は、信号無視や一時不停止などの比較的軽い交通違反の違反者は、「交通反則通告制度」により、青切符(交通反則告知書)を交付され、反則金を納めれば刑事処分を科されない。

 同制度は交通違反処理の効率化などを目指し、1967年の道交法の改正で導入された。しかしこれまで自転車は対象外だった。適用範囲を自転車まで拡大するというのが、今回警察庁が検討している内容だ。

 このタイミングで警察庁が青切符を導入しようとしているのにはどのような意図があるのか。警察官として2千件以上の交通事故捜査を担当した経験を持つ、交通事故調査解析事務所の谷宗徳・代表は「一番の要因は、自転車側に違反がある自転車事故が増加していることにあると思います」と話す。

「新型コロナウイルスが流行してから、他人との接触をさけるため通勤やウーバーイーツなどの出前サービスなどで自転車を使われる機会が増加しました。そうした中で、危険な運転をしている人が増えたのが大きいと思います」

 警察庁によると、2022年の自転車関連の事故の件数は6万9985件で、前年から291件増加したという。事故件数全体としては減少傾向にあるが、全交通事故に占める自転車関連事故件数の割合は、22年に23.3%で、16年から増加傾向にある。

 さらに、自転車による交通違反の検挙数も増加。22年は2万4549件で、これは13年の7193件と比べて約3.4倍にもなる。

 自転車の交通違反に青切符が導入されると、「取り締まり件数が、かなり増えるのではないか」と熊谷さんは話す。

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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