02年オフ、そんなローズを4番不在に悩むロッテ・山本功児監督が自ら渡米して口説き、1年契約の推定年俸8000万円で、3年ぶりの日本球界復帰が実現した。
03年1月下旬、“決意の丸刈り頭”で来日したローズは「今はもう一度野球ができる幸せを感じている」と現役再挑戦への意気込みを語ったが、その一方で「不安はある。すごくナーバスになっているんだよ」と弱気な発言をしていたのも気になった。
その不安は的中する。キャンプイン後、フリー打撃では快打を連発したローズも、紅白戦が始まると、3試合で8打数無安打と変化球への対応に苦しんだ。
36歳の誕生日を前にして、動体視力の衰えを悟ったローズは、野球に対する情熱を失い、「開幕前だとチームに迷惑がかかる」と異例のキャンプ中の退団を発表。これまで来日した助っ人の中でも史上最短のスピード退団となった。
横浜時代のローズは“伝説のプレーヤー”としておなじみだが、ロッテ時代のローズを覚えているファンはどれだけいるだろうか?(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。