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 日常生活に支障をきたすほど、大量の汗が出る「多汗症」。多汗症であっても健康上の問題はなく、治療方法は限られていましたが、近年は多汗症が社会活動や対人関係に影響を及ぼすことなどが認められ、健康保険が適用される薬も増えてきました。多汗症の診断や治療について、専門の医師に聞きました。この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「多汗症」全3回の2回目です。

【チェックシート】多汗症の判断基準はこちら

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「多汗症」1回目の記事:「汗を大量にかく人とかかない人の違いは? 発汗機能は2歳までに決まる説も 多汗症チェックリスト」はこちら

 暑くもないのに日常生活に支障をきたすほど大量の汗が出るのが、「多汗症」です。汗は暑いときや運動したときに体温調節のために出る「温熱性発汗」と緊張したとき、驚いたときなど精神的な刺激によって出る「精神性発汗」があります。特定の部位に過剰な汗をかく局所多汗症は、主に精神性発汗によるものです。

 大量の汗が出る部位として多いのが、手のひらや足の裏、わきの下、頭、顔です。部位によって、発症の時期や症状などに特徴があります。

 多汗症は背景に病気がない限り、放置しても健康上の問題はありませんが、どのような場合に病院を受診すればいいのでしょうか。発汗異常症を専門とする愛知医科大学病院皮膚科教授(特任)の大嶋雄一郎医師はこう説明します。

「大量に汗をかいても、本人が困っていなければ治療の対象になりません。しかし日常生活に支障をきたし本人が困っている場合は、治療の対象になるので皮膚科を受診することをおすすめします」

 多汗症は明らかな原因がある「続発性多汗症」と原因がない「原発性多汗症」に分けられます。続発性多汗症の原因には、薬剤性、循環器疾患、がん、感染症、内分泌・代謝疾患、末梢神経障害などの病気があります。大人になって突然発症した場合、左右どちらかだけに症状が出る場合、寝汗が大量に出るといった場合は、続発性多汗症の可能性があります。

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多汗症の治療は、症状が出ている部位によって異なる