捕手で今後が楽しみなのが斎藤陽貴(昌平)だ。2年夏から正捕手を任せられており、新チームからは4番に座り昨年秋、今年春とチームの県大会優勝に大きく貢献。地肩の強さよりもフットワークが目立つタイプで、低くて正確なスローイングが光る。打撃も無駄な動きが少なく、ミート力が高い。この夏の埼玉大会は惜しくも準決勝で花咲徳栄に敗れてチーム悲願の甲子園初出場はならなかったが、6試合で打率.550をマークした。進路は大学が有力視されており、4年後にさらに力をつけてドラフト戦線に浮上してくることを期待したい。

 内野手で甲子園出場を逃した大物選手といえば明瀬諒介(鹿児島城西)になるだろう。下級生の頃から不動の中軸として活躍し、1年秋、3年春に出場した九州大会ではチームは初戦で敗れたものの、いずれもホームランを放つ活躍を見せている。パワーはもちろんだが、ホームラン打者らしい打球の角度があるのが魅力で、打った瞬間にさく越えを確信するような当たりも多い。少しバットの無駄な動きが目立ち、この夏は厳しいマークもあって待望の一発は出なかったが、それでも4割近い打率を残して能力の高さを見せた。既にプロ志望を明言しており、貴重な右の大砲候補だけに狙っている球団は多いだろう。

 外野手も明瀬と同じスラッガータイプの星野ひので(前橋工)を挙げたい。昨年秋は右肘を手術して試合に出場することができなかったが、リハビリ期間に体が大きくなり急成長。春以降ホームランを量産し、スカウト陣の注目を集める存在となった。たくましい体格で、1人だけ軽いバットを使っていると錯覚するほどの鋭いスイングが持ち味。決して力任せではなく、全身を使ってバランスよく振れるのも長所だ。この夏もチームは3回戦で敗れたものの、星野は2回戦の常磐戦で2本のホームランを放つ活躍を見せた。守備、走塁はそれほど目立たないものの、貴重な長距離砲の素材として楽しみな存在である。

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ポジションを“超えて”注目したい選手は…