夫と教育方針をめぐって意見の相違が……。4人の子ども全員を東大理III(医学部)に合格させた佐藤ママこと佐藤亮子さんの場合はどうだったのでしょうか。夫婦の支え合いについても考えさせられます。『三男一女東大理III合格! 佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール42』からの一部抜粋です。第五回目は、第4章「ママ友との関係、祖父母の口出し…困ったときの対処法」から黄金ルール30「夫と教育について意見が違う!… 父親は口を出すよりお茶を出して」を公開します。
【第五回】夫と教育について意見が違う! 父親は口を出すよりお茶を出して
両親が教育に関して別々のことを言うのが一番よくありません。わが家では、子どもの教育に100%私が責任を負うことにしました。
遅くに帰宅した主人が、「こんなに遅くまで勉強させてはかわいそうだろ。もう寝かせてやったらどうだ」と言ったことがあります。せっかく子どもたちががんばっているのに、そう言われると私も子どもも意欲をそがれるのです。父親と母親で言うことが違うと子どもたちは混乱してしまうため、「子どもの教育に関しては、すべて私がやる」と決めたのです。
もちろん、主人にも私や子どもたちをサポートしたいという気持ちがあったと思います。その気持ちはありがたい。だから、主人には、「子どもが勉強しているときには口を出さないで、お茶を出して」と言いました。すると、主人は私たちが勉強に取り組んでいると、お茶を出してくれるようになりました。お父さんがお茶をいれてくれると子どもたちもがんばろうと思い、私もねぎらってもらっていると感じられてうれしかったです。
サポートとは、自分がやりたいことをするのではなく、相手がしてほしいことをすることです。自分がやりたいことと、相手がやってほしいことはたいてい違うものです。
お父さんはお母さんがやってほしいと思っていることをしてください。お母さんが「お父さんと結婚してよかった」と思うようなことを、お父さんにはしてほしいと思います。わが家の場合、それは、主人が私に「大変だね」と言ってお茶を出すことだったのです。
わが家のリビングには、テレビがありません。結婚したときにはありましたが、長男の出産前に出産後のことをシミュレーションしたとき、「私が育児をがんばっているときに主人がテレビを見てアハハと笑っていたらイラッとするだろうな」と思い、テレビを2階に移動しました。最初は主人もテレビを見たいときには、2階に上がっていましたが、しばらくすると見なくなりました。あんなに楽しみにしていた、野球の試合の結果をテレビで見ることもなくなり、新聞で読むだけになって、人間の習慣は面白いと思いました。
子どもの教育に全力で取り組んだというと、家の中のことも完璧だったとよく勘違いされます。4人の子どもの中学受験、大学受験のときには、家事は適度に手を抜いていました。
あるとき、主人が「食器棚に皿がない。洗ってないよ」と言うので、「そんなこと言う暇があったら、食器を洗って」と言ったら、自分が使いたい1枚だけを洗っていました(笑)。主人は、「子どもたちが大学に合格するまでは子どもが最優先」ということを理解していたので、家事についてうるさく言うことはありませんでした。そのことにとても感謝しています。
世の中には、普段は仕事が忙しくて子どもの教育にはほとんど関わっていないのに、志望校や志望学部を決めるときに、ダメ出しをしたり、自分の希望を押しつけたりするお父さんもいるようです。子どもから相談されたときは別ですが、子どもに聞かれてもいないのに口を出すと反発されるだけです。
だから私は、弁護士の主人に「弁護士を目指せ、弁護士になってほしい」とは言わないように、と伝えていました。結果的に4人の子ども全員が医学部に進むことになりましたが、主人も子どもたちの意思を尊重してくれました。
サポートとは、自分がしたいことをするのではなく、相手がしてほしいことをすること。子育てにおいて、夫婦が支え合う場合も同じではないでしょうか。わが家では「父親は口を出すより、お茶を出す」。これでうまく毎日が回っていました。でも、できれば、家事も手伝ってほしかったのですが……(笑)。
『三男一女 東大理III合格! 佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール42』(佐藤亮子著、朝日新聞出版)
■■目次■■
【はじめに】
【佐藤家のプロフィル】
【3男1女佐藤家4きょうだいのあゆみ】
【第一章】親として自信がつく!まず、知っておきたい8つのこと
(1)18歳まではどこまでも子どもに手をかけて
(2)親のサポートが子どもの人生を左右する
(3)子どもは怠け者で、勉強は嫌いだし、ウソもつく。そこからスタート
(4)学びには旬がある。今、やらせないと後悔します
(5)テストで1点を上げる努力を甘く見ない。成功体験が自己肯定感につながる
(6)とりあえずやってみる。教育は「いいとこどり」の精神でOKです
(7)子どもの「わかった!」は親への最高のプレゼント
(8)自分の人生はオリジナル。周りは気にしないで
【第二章】早期教育の鉄則 就学前は「よみ、かき、そろばん」を徹底的に
(9)IT時代も30年前の子育てがちょうどいい
(10)目指してみよう! 能力を開花させる魔法の数字「1万」
(11)豊かな感性を育てる絵本の読み聞かせ
(12)読み聞かせで読解力が向上
[絵本リスト]佐藤ママおススメの絵本100冊
(13)生きた教養は童謡から。お父さんの出番です
(14)童謡は学校の勉強にも役に立つ
[童謡リスト]佐藤ママおススメの童謡100曲
(15)英語より、ひらがな、九九、一桁のたし算。就学前にやって損はない
【第三章】成績がぐんぐん伸びる!小中学生の宿題・テストのサポート術
(16)子どものやる気を引き出すのは、親のあなたです!
(17)「しっかりして」「がんばって」は禁句。子どもには負担です
(18)テスト勉強や宿題を子どもに丸投げしない。親の関わり方を見直そう
(19)急がば回れ。テストの点数が悪かったら、勇気を持って戻る
(20)こうすれば意欲がわく。子どもの達成感を演出する3つのコツ
(21)寝る時間は厳守。ノルマが残っていても寝る
(22)勉強中の子どもは孤独。親がそばにいてあげる
(23)塾で先取りはOK。でも学校もおろそかにしない
(24)勉強だけでは効率が悪い。成長期は運動もさせて
(25)新聞は子どもにとって社会の窓。活用しないともったいない
(26)スマホには断固とした態度を!子どもは「やめたい」と思っている
【第四章】ママ友との関係、祖父母の口出し…困ったときの対処法
(27)子どもに信頼されたい… 接し方次第で関係は変わります
(28)反抗期は成長に不可欠?…なくていい! 親の暴言が反抗期の種に
(29)子どもに勉強を教えられない…お母さんは堂々としていていいのです!
(30)夫と教育について意見が違う!…父親は口を出すよりお茶を出して
(31)祖父母が口を出す… 一役渡して、蚊帳の外には置かない
(32)受験の結果が心配…シンプルな激励の言葉を用意しておく
(33)志望中学・高校に落ちたときには…とにかく忘れて! 人生はノーサイド
(34)ママ友は必要?… 悩むくらいなら腹をくくる
【第五章】今から知っておけば安心!合格へ導く大学受験の法則
(35)難しく考えないで。大学受験はシンプルです
(36)「計画は分単位で立てる! 後悔しないための時間管理術
(37)受験生の持ち時間は平等。計画はゴールから逆算がカギ
(38)受験に完璧は禁句。暗記はすきま時間でOK
(39)暗記と苦手な部分は除夜の鐘までに終わらせること
(40)最後の2週間の過ごし方。本番の時間帯に身体を慣らす
(41)男の子と競う受験。女の子は早め早めが正解です
(42)受験生でも女の子の美容は大事!「きれいにしたい」は否定しない
【第六章】家族の結論! 0歳から18歳まで「ママの言う通りにしてよかった!」
[長男から]調べる習慣は母の姿を見ていたから
[次男から]母のおかげできれいな歯。大切にしたい
[三男から]性格に合わせて勉強法を工夫してくれた
[長女から]親元を離れて実感。幸せな18年間だった
[夫から]精神的な強さも尊敬。私の人生も豊かになった子育て
[後日談]「恋愛は無駄」でママが炎上!? 火消しに走った次男のフェイスブックコメント全文
【対談】
佐藤ママ×佐藤パパの本音対談!「アンチがいてもいい。家族が一番の味方」
【おわりに】