仕事で注意をする時に感情的になって、業務に関係ない個人的なことまで言う上司、ときどきいますよね。心理カウンセラーで「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表の石原加受子さんは、「怒りをぶつけていくる上司は、部下の能力を恐れているんです。自分が抜かされないために部下に『怒り』をぶつけてきます」と話す。石原さんが監修した『心理学でわかる 女子の人間関係・感情辞典』(朝日新聞出版)から、感情的に怒りをぶつけてくる上司への上手な対処法を紹介する。
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会社全体の業績を考えている上司は、部下を育てるために「叱る」ことがあります。一方で、部下の能力を恐れている上司は、自分が抜かされないために部下に「怒り」をぶつけてきます。怒りという感情を武器にして脅せば、相手を支配できると考えているのです。
これまでずっとそうやって自分の地位を守ってきたツワモノですから「怒れば相手は必ず萎縮する。もし手向かいしてきても、絶対に自分が勝つ」と決めつけています。いわば、上司が主演で部下が共演のシナリオのようなもの。部下がその台本通りに行動すれば、上司が望む結末が待っています。
しかし、部下が台本にないアドリブをしたら、どうなるでしょう? 部下がまったくセリフを言わず、じっとして落ち着き払っていたら? 予想外の展開に上司はついて来られません。上司の目には、あなたの冷静な態度がとても不気味に見えています。言うだけのことを言い終わったら抜け殻のような状態で、おとなしくなるでしょう。
そうなれば、主導権は部下のものです。上司が浴びせた言葉の中から、感情的な部分は無視して具体的な問題や趣旨のみに焦点を当て、例えば「その件に関しましては、A案とB案がございます」というように具体的な話だけをすればいいのです。
感情的な攻撃に感情で対抗しても勝ち目なし
感情的になって興奮している人を相手にするときは、同じやり方で対応してもいたずらに体力を消耗するだけです。むしろ相手とは真逆のリラックスした態度でいたほうが、攻撃をかわしやすくなります。