NITEが行った調査で、最も多かった事故原因は製品自体の不具合によるものだった。同法人製品安全センターの山崎卓矢・製品安全広報推進官は、「特にインターネットで商品を購入する際には、メーカーや輸入事業者、販売元をきちんと確かめてほしい」と呼びかける。

 ネット通販で販売されている商品の中には、メーカーや販売元の連絡先が不明であったり、海外の連絡先しか表示されていなかったりすることがあり、仮に事故が発生してもリコールなどの措置がなされないことがあるのだという。

 山崎さんは、「ネット通販を利用する際には、サイトの質問機能を利用するのも有効な対策の一つです」と話す。

「そこで質問して返答があれば、商品購入後もきちんと対応してくれる可能性が高いと言えます」

炎を上げる携帯扇風機 NITE提供

 購入後の取り扱いにも注意が必要だ。落とすなどして強い衝撃が加わったり、車のダッシュボードなどの直射日光の当たる高温下に放置したりすると、リチウムイオンバッテリーが損傷し、火災事故につながる可能性があるのだという。バッテリーが危険な状態にあることを見極めるのはどうすればよいのか。山崎さんはこう話す。

「充電ができなくなったり、充電中に本体がこれまでより熱を持つようになったりするなどの異常が見られたときは、すぐに使用を中止して、メーカーや販売元に連絡してほしい」

 また、事故の8~9割は充電中に起きているため、就寝中は充電を避けたり、周囲に燃えやすいものがない場所で充電したりすることも重要だという。

バッテリー部分が燃え、黒くなった携帯扇風機 NITE提供

 廃棄する際には、適切な方法で処分する必要もある。ごみの処理過程における発火事故が近年増加しており、中でも、リチウムイオンバッテリー等の充電式電池が原因と思われる火災等発生件数は環境省の報告書によると2020年度で12,765件(前年度比30%の増加)だったという。

「リチウムイオンバッテリーに入っている電解液という可燃性の液体により発火すると激しい勢いで炎が燃え広がってしまいます。使用しなくなったからといって、安易に不燃ごみやプラスチックごみなどとして捨てず、お住いの自治体に確認して適切に処分してほしい」(山崎さん)

 携帯扇風機を適切に使用して、今年の夏も涼やかに乗り切りたい。

(AERAdot.編集部・唐澤俊介)

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