H.O.Tの人気がSM成長の踏み台になったと言っても過言ではない。彼らが稼いだ莫大(ばくだい)な収益により、事務所はかつて日本でも活動したガールズグループのS.E.S、ボーイズグループのSHINHWA、BoAなどをプロデュースすることができた。

 ところが人気絶頂だった2001年、H.O.Tのメンバー3人が突然グループ脱退を宣言した。理由は、SMとアーティストの間で交わされる契約についてだった。事務所に一方的に有利で、アーティストには不利な条件だとし、3人は「私たちはCDが1枚売れたら1人10ウォン(約1円)の収入しかもらえない」と主張した。彼らは残り2人のメンバーがSMの経営陣から優遇されていて、自分たちは差別されているとも主張した。

 脱退を推し進め、結局数多くのファンに背を向けたまま解散した。当時、世論とファンはSMが課す“奴隷契約”がH.O.Tのメンバー脱退をあおったと強く叱咤(しった)した。事務所とアーティストの間の不当な契約条件は精算すべきだという声が高まった。

 その後、2010年3月にもSMとアーティストの間で同じことが起きた。韓国と日本で最高の人気を誇っていた東方神起の3人がグループを脱退し、事務所を出ると宣言したのだ。

 日本のマスコミでも東方神起メンバーの脱退については大きく扱ったため、この内容は広く知られている。メンバー3人は、事務所との専属契約が不当だとして契約の効力を禁止する訴訟を提起した。同時に、これまでの活動に伴う収入の精算内訳や支出領収書などを事務所に求めた。

 契約条件や金銭的な部分での不満は頂点に達していた。3人と事務所の間の軋轢(あつれき)は裁判にまで発展し、事務所を脱退してJYJというグループ名で活動を再開した。東方神起は現在、残り2人のメンバーが活動しているが、5人だった時期の人気はもうない。

 今回のEXOのメンバー3人の脱退騒動は、H.O.T、そして東方神起と続いた騒動と全く変わっていない。事務所に有利な契約と売り上げ精算が原因だったにもかかわらず、実態は変わっていないことを証明している。

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