フジテレビで2023年1月から放映された月9ドラマ「女神の教室 リーガル青春白書」を観て、法科大学院に興味を持った人もいたのではないだろうか。好評発売中のAERAムック『大学院・通信制大学2024』では、このドラマの法律監修を行った実務家教員に法科大学院での教育について話を聞いた。
【図版】大きくわけて2つある司法試験合格への道のり 法科大学院と予備試験
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ドラマの舞台は、東京地方裁判所刑事部裁判官の柊木雫(北川景子主演)が、教員として派遣された青南大学法科大学院だ。自らの法曹体験を通して学びを深めようとする雫に対し、学生は「もっと司法試験対策をしてほしい」と反発。個性豊かでいろいろな背景を抱えた学生たち、雫とは異なり司法試験対策のノウハウを教えることに拘泥するエリート研究家教員の藍井仁(山田裕貴)らが織りなす青春ドラマだ。さまざまな事件が起こり、それを解決する雫の手腕も見所だった。
このドラマを監修したのが法政大学法科大学院で教鞭を執る、弁護士の水野智幸教授と野嶋慎一郎教授だ。水野教授はニュースへのコメントや裁判官が主人公のドラマでも監修を務めるなど経験も豊富だ。今回のドラマは「今まで法科大学院が舞台のドラマはなかったので、存在を広めてくれたことは大変ありがたい」と話す。
同じく監修を務めた野嶋教授もこう評価する。
「主人公が単に司法試験の受験対策だけでなく、『人間教育』という理想を持っていたのが、法科大学院のあるべき姿を具現化してくれた。司法試験に合格できなかった同級生を、みんなで励ますシーンがありましたが、友情がもうひとつのテーマとなっていたのも良かったですね」
監修で苦労したのは、法曹の実務とエンターテインメントとしての面白さの兼ね合いだったという。
「裁判官である雫が、1人で解決すればドラマとしては盛り上がるのでしょうが、実際にはそうはいきません。ドラマの面白さを、実務のなかにどう生かすかが難しかったですね」(水野教授)