法政大学法科大学院の授業は基本的に少人数制で、模擬裁判など実践的な授業も多い。実務に即した「法律文書作成」や事例検討会に参加する「クリニック」、無料法律相談への同席や弁護士事務所などで研修を行う科目もある。研究室が開放されるオフィスアワーには教員から個別に指導が受けられる。

 「法律は、決まったことを覚えるものと思われるかもしれませんが、まったく違います。実際の案件には、解決がつかない問題がたくさんある。ひとつひとつの案件に対して、どのように論理を組み立て弁論を行っていくのか、その元となる力を育てなければならない。心理学や哲学の授業もありますが、法曹人を目指してからの学びは、より深くなるはずです」(水野教授)

■相手の立場を理解し公平な視点を持つ

 野嶋教授が指導する「クリニック3」の授業は、裁判官、裁判所書記官、検察官、弁護士、被告人席が本物さながらに設けられた法廷教室で行われた。野嶋教授が実際に手がけた刑事事件を元に、別件逮捕勾留、余罪取り調べ、長時間の取り調べなどを検討。野嶋教授は学生に質問を投げかけながら、取り調べの様子、被告人との接見の様子などを詳細に説明。学生は、真に迫る被告人とのやりとりを、真剣な表情で聞いていた。

 未修者コース2年次の石垣怜子さんは、京都女子大学法学部卒業後、流通業界に就職。約7年間働いた後「法律を学べば組織の中でも力になれるし、弁護士になれば悩みがある人の力になれる」と、キャリアチェンジを目指して入学した。法政を選んだのは「少人数制教育が魅力だった」から。鈴木由さんは、法政大学法学部から進学。父が弁護士で事務所にはいろいろな人が訪れていたという。また毎晩のように司法修習生と一緒に夕食をとりながら話を聞き、身近に感じて自然と弁護士を目指すようになった。

 「実践的なプログラムの刑事訴訟実務基礎では実際の事件を取り上げて、学生が裁判官、検察官、弁護士、被告人となり、尋問したり論告や弁論を述べたりしています」(野嶋教授)

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
理想の弁護士は「公平感を持っていること」