巨人を取材するスポーツ紙記者は、今後のトレードの可能性についてこう分析する。 

高橋優貴
高橋優貴

「出血覚悟でないと1軍で通用する投手は獲得できない。交換要員の候補として考えられるのは松原聖弥、高橋優貴、北村拓己ですね。松原は野球センスが抜群なのですが、生かし切れていない。高橋も四球を出すと落ち着かなくなり、ベンチを気にするようなそぶりを見せてしまう。課題は投球そのものよりメンタル面だと思います。環境を変えたほうがよいように感じますね」 

 松原は明星大から2016年育成ドラフト5位で入団。俊足を生かした躍動感あふれるプレースタイルで、外野の守備能力も高い。プロ2年目の18年に支配下登録されると、21年に135試合出場で打率.274、12本塁打、37打点、15盗塁と活躍。「育成の星」として脚光を浴びたが、不動のリードオフマンとして期待された昨年は春先から調子が上がらず、50試合出場で打率.113、0本塁打、4打点、2盗塁と前年より大きく成績を落とした。攻守で状況判断の悪さが課題に挙げられ、修正しようとして野性味が失われたように感じる。今年も19試合出場にとどまり、安打はゼロ。代走と守備固めでの起用が多く、スタメン出場は一度もない。外野陣はルイス・ブリンソン、丸佳浩、梶谷隆幸に加えて高卒3年目の秋広優人がブレーク。ファームにアダム・ウォーカー、オコエ瑠偉が控え、将来のレギュラー候補としてドラフト1位・浅野翔吾、2位・萩尾匡也、2年目の岡田悠希も力をつけている。外野で序列が下がった松原が1軍でレギュラーを再奪取するのは厳しい状況だ。 

 18年ドラフト1位左腕の高橋は、プロ3年目の21年にチームトップの11勝をマーク。先発の軸として期待されたが、昨年は1勝のみの大誤算だった。今年も4試合登板で0勝1敗、防御率6.35。決してチャンスがないわけではなく、先発で3度の登板機会を与えられたが、不安定な投球で試合の序盤に降板している。松原同様に、高橋もチーム内の立ち位置が微妙になっている。巨人の左腕事情を見ると、フォスター・グリフィン、ヨアンデル・メンデスが先発の役割を果たし、高橋と同期入団の横川凱も台頭している。井上温大、代木大和も将来が嘱望される若手だ。高橋が再び輝きを取り戻すために、トレードという決断を球団が下す可能性が考えられる。

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