沖田が得意とした「三段突き」は小刻みに突きを打ち込むもので、一本打ったと見る間に3連打するという秘技。芹沢鴨の暗殺を皮切りに、脱走者の酒井兵庫や浅野薫を斬り、池田屋事件でも一説には吉田稔麿や松田重助などを斬ったともされる。
平素は子供好きで冗談を絶やさなかったという沖田だが、ひとたび剣をとれば職務に忠実かつ冷徹な殺戮者とも化した。敵に回せば、これほど恐ろしい男もいなかったであろう。
そして第5位の永倉新八。山村氏は、「沖田よりも稽古が進んでいた、という元新選組隊士・阿部十郎の証言があります」という。
若くして江戸三大流派の一つといわれた神道無念流「撃剣館」で学び、新選組では副長助勤・二番隊組頭を務めるなど実戦経験も豊富だった。新選組の名声が高まるにつれ、局長の近藤が慢心し始めると、それを見かねた永倉は、斎藤一や原田左之助らと6人の連名で会津藩に対し、近藤弾劾の建白書を出した。また新選組の内部抗争に端を発した油小路事件では、旧知の仲であった藤堂平助を逃がそうとまでしている。上にへつらわず、己の信条に従って行動する気概に満ちていた永倉を最強とする声も根強い。
発売中の「歴史道」Vol.28「新選組興亡史」では、今回紹介した10人を含む「新選組隊士最強ベスト20」を採点基準も含めて詳報しているほか、一冊まるっと新選組を特集している。(監修/採点・山村竜也、文・上永哲矢)
※AERA 2023年7月17日号