夫にも「言い分」が…。写真はイメージです。(Gettyimages)
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 「子供が1歳の時に、主人が育休を取ったのですが家でゴロゴロして何も手伝ってくれない。泣いてもあやしてくれないし、寝かしつけもしてくれない。共働きで私は家でリモートワークしていたのですが、子供も見なければいけないし心身ともに限界でした」

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 こう話すのは、3歳の男児を持つ都内在住の女性(35)だ。

「できることをやってほしいと伝えても、『ずっと仕事をして疲れているんだから休ませてくれ』って……。育休を自分の休暇と勘違いしている。それなら給料が減るので働いてもらったほうがありがたいですね」

 夫が育児休業を取得しても、妻の育児負担が減らずにストレスをためるケースがあるという。

 子育てしながら仕事をする女性は年々増えている。厚生労働白書の「共働き等世帯数の年次推移」によると、2020年の共働き世帯数は1240万世帯。00年の942万世帯から20年間で31.6%増えている。 

 夫婦の働き方の変化を受け、育休も新たな制度が導入されている。22年4月から段階的に施行された改正育児・介護休業法の一環で、同年10月から新たな制度「産後パパ育休」(出生時育児休業)が創設され、労働者は子供の出生から8週間以内に最大4週間まで取得できる。旧制度の「パパ休暇」との大きな変更点として、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能となった。さらに、分割で2回の取得が可能に。 

 これとは別に、原則1歳(最長2歳)までの子を育てる親が取得できる従来の育休も制度が改正され、昨年10月から「産後パパ育休」同様に分割で2回の取得が可能となった。1歳以降に延長の場合、旧制度は育休開始日が1歳、1歳半の時点に限定されていたが、新制度で開始日が柔軟化されたことで夫婦が育休を途中交代できるようになった。また、今年4月から従業員数1000人超の企業は、育休の取得の状況を年に1回公表することが義務づけられた。 

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男性の意識が変わらなければ…