育児支援策を導入する企業も増えている。社員の子育てをサポートする目的で育休中に支援金を給付するほか、従業員が仕事に復帰後も育児の負担を考慮してテレワーク(在宅勤務)を推奨するケースが目立つ。 

 「夫は仕事、妻は子育て」という一昔前の時代から確実に変わりつつある。ただ、夫婦が助け合いながら子育てをする生活様式が、スタンダードになるところにまでは至っていない。育児に関する法制度の改正は、男性の育休取得率がまだまだ低いことも背景にあるだろう。厚生労働省が公表した21年度の雇用均等基本調査によると、男性の育休の取得率は前年度から1.32ポイント上昇し13.97%に。9年連続で上がり過去最高になったが、政府が掲げる「25年までに男性の育休取得率30%」の目標にはまだまだ遠い。 

 2人の子育てをする千葉県在住の女性(37)は、「育休を取得しやすい環境になっても、男性の意識が変わらなければ意味がない」と強調する。 

「私は専業主婦なのですが、1人目の子供を産んだ後に体調が悪くて動くのがつらかった。夫が育休を取ってくれた時は喜んだのですが、外出してばかりでサポートしてくれなかった。帰ってきた時に食事が用意されていないと不機嫌になって。負担が減るどころか倍増していた。当時は早く夫の育休が終わってほしかったですね」 

 男性の言い分もあるだろう。上記の話を聞いた夫(42)はこう語った。 

「食事が用意されていないことを指摘したのは申し訳なく思っています。ただ、自分も妻の家事の負担を軽くするために、皿洗いなどできることをやったつもりが、汚れが残っていることを指摘されて『これなら何もしなくていい』と言われたんです。妻がイライラしていたのはわかっていたし、自分が何をできるわけではないので同じ空間にいないほうがいいかなと……。公園など近所でボーっとして時間をつぶしていました」 

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