女性皇族の存在は、実質的な仕事に加え、公的な場においても私的な場においても、その場の空気に優しさと温かさを与え、人々の善意や勇気に働きかけるという、非常に良い要素を含んでいると感じています」
しかし、清子さんでさえ組織の総裁職や名誉総裁職に就くことはなく、その先鞭をつけたのは、清子さんの次の世代の三笠宮家の故・寛仁さまの長女・彬子さまだった。
世間でも女性が仕事で活躍することは特別なことではなくなり、同時に男性皇族の高齢化と皇族の減少が顕著になった時期に重なる。
「女性の高学歴化、晩婚化は皇室も一般社会と同じです。公務の担い手不足も、内親王や女王の就任を後押ししています。いまや内親王や女王の総裁・名誉総裁職就任は、特別なことではなくなりました」(山下さん)
たとえば、日本工芸会の総裁は、故・桂宮さまから眞子さん、そして佳子さまに引き継がれている。
■動物愛護や福祉への関心
愛子さまは、学習院大学を来春に卒業予定だ。
「両陛下は、愛子さまの学業を優先されるお考えのようですので、単独公務デビューは適した時期を探っていると思われます」(事情に詳しい関係者)
眞子さんや佳子さま、そして女王らも、それぞれの家が務めてきた公務や、ご本人の興味の延長上にある公務が多い。
たとえば雅子さまは、動物好きで知られる。東宮時代に、東宮御所に迷い込んだ犬や猫の世話をしたこともあり、盲導犬やアニマルセラピーといった社会活動に関心を寄せてきた。
天皇ご一家は、愛犬の由莉や2匹の猫と暮らしている。愛子さまが生まれる前から飼っていた、「ピッピ」「まり」は、赤坂御用地に迷い込んだ犬が生んだ子犬だった。09年から一緒に暮らす「由莉」も、動物病院に保護されていたところを引き取った。
動物保護への強い関心は、公務からも伝わる。
令和に入ってまもない19年。秋田県を訪問した両陛下は、県動物愛護センター「ワンニャピアあきた」を視察している。そこでおふたりは、捨てられるなどして保護された犬や猫とふれ合っている。