元気で甘えん坊だったマメ(提供)
元気で甘えん坊だったマメ(提供)

 それでも落ち着かず、10月にはマメの後ろ足が弱り、立てなくなりました。

 これはどうみてもおかしい!と思い、今度は大きな動物医療センターに連れていき、全身麻酔をしてCTなどの検査をしました。その結果、脊髄空洞症といわれました。そこにたまった髄液からコロナウイルスが検出されたんです。

 ふつうは臓器に入り込むウイルスが、マメの場合は脳の方にいってしまい、神経を圧迫して後ろ足が効かなくなってしまったと。「実際に診察したのは始めて。猫では空洞症自体がレアなケースです」と先生がおっしゃいました。なんでマメが?と、茫然としました。

 調べると致死率が高く、そのウイルスをたたくための薬は日本では未承認で超高額。そのうえ100%治るとは限らない……。それでも可能性があるならお金をかけても治療しようかと主人とも何回も相談しました。とはいえマメへの体への負担も重たそうで……葛藤しました。

 動けなくなったマメは、ごはんの時に寝ころんで、顔を上げて「にゃーん(お母さーん)」と呼ぶ。切ない気持ちで抱っこしながら、前足だけでも動かせるように歩かせてみたり、正座した私の太ももにまたがせて、ごはんを食べさせたりしました。

別れ、そしてマメから学んだこと

 その日は突然来ました。後ろ足が立たなくなって約1週間、ちょうど予約していた診察日に別れが訪れたのです。

 朝、マメがおやつにむせたので慌てて車で病院に向かい、あとちょっとで病院に到着するところで、マメの息が「うっ」となり、呼吸が止まり、病院についてすぐ人工呼吸をすることに。でも変わりません……。

「あと数分でマッサージを辞めます」と先生に言われ、最後の最後に「がんばれ」と祈るような思いで口にすると、マメが一瞬息を吹き返しました。人工呼吸器をつける選択もありましたが、意識はもう戻らない……。また葛藤したけれど、自然にそのまま、という選択をしました。

「病院でお部屋を用意するのでそこで看取りますか?」と先生が言ってくださったので、マメとふたりだけで過ごせる場所に案内してもらいました。「大丈夫よ、お母さんが抱っこしてるからね」と声をかけて5分くらいしてからのことです。すっと心臓が止まりました。

 抱っこして看取れたのが、せめてもの救いでした。

旅立ったマメに別れを告げるモチ(提供)
旅立ったマメに別れを告げるモチ(提供)
暮らしとモノ班 for promotion
【Amazonブラックフライデー】先行セール開催中(28日23:59まで)。目玉商品50選、お得なキャンペーンも!
次のページ
マメとの出会いがあったからこそ