飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回ご紹介するのは、奈良県在住の50代の主婦、杉井直子さんのお話です。昔から犬と暮らしてきた杉井さんは、3年前の夏に初めて猫を迎えました。それまで抱いていた猫のイメージを覆す愛らしさにぞっこん。でも愛猫は思いがけず病気で旅立ってしまい……。募る思いを伺いました。
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子どもの頃から、ずっと犬とばかり暮らしてきました。
子猫を拾ってきても、猫嫌いな母に「捨ててらっしゃい」と言われて。結婚後は近所の野良犬を飼い始めました。主人は猫も好きでしたが、同居した義母がやはり「猫は苦手」なタイプだったので、結局、“犬の切れ目なく、猫とは縁がなく”という生活が続いたのです。
そんな私に、遂に猫と暮らすチャンスが訪れました。名前はマメ。可愛いオスの猫です。
マメと会ったのは2020年8月。その年の1月に義母が亡くなり、7月にたまたま友だちが子猫を保護し、「里親を探してるんだけど」と連絡が来たんです。うちの犬はみんな貰われてきた子なので、「猫も誰か飼える人を紹介してくれる?」という感じでした。白黒のマメの写真を見て可愛い!と思い、「わかった。里親が見つかるまでの間、預かるね」と言いつつ、心の中はもう「飼いたい」気持ちでいっぱい。
当時、うちには、さくら、むぎ、きなこという3匹のメスの犬がいたのですが、主人は猫が好きなので、「いいね」と言ってくれました。友だちに「引き取り手もなかなか見つからないし、うちで迎えようと思う」と伝えると、喜んでくれました。
子どもたちは「また(動物)増えるの?」と目を丸くしていたけど、こうして、暑い盛りに生後4カ月の子猫が、人生初の猫が、やってきたのです。
犬の中ですくすく育って
マメは、「もともとうちにおった子かな」と思うくらい、すぐに馴染んでくれました。
野良が生んだ子だけど、人を怖がらず、シャーともせず。犬たちはマメを見て「え、犬ではないの」と違和感があったようですが、まず、ミックス犬のきなこがマメと仲良くなりました。きなこはマメとテーブルの上にお座りしたりと、“猫化”しましたね。