声を上げづらくしている背景には、「若いんだから働けるだろう」「なぜ働かないのか」という社会的な風潮もある。こうした“分断”がホームレス状態の人をより見えづらくしていると大西氏は指摘する。

「若者がホームレス状態に陥る背景には、失業・倒産、過酷な家庭環境、病気など、さまざまな事情が複雑に絡み合っていますが、失敗が許されにくい不寛容な社会では『自己責任である』と捉えられがちです。しかし、失敗は誰もがするものであり、自助努力には限界があります。さらに日本社会には『家族の問題は家族が支えるべき』という価値観が根底にあり、それが社会政策の進展を遅らせる一つの要因にもなっています」

 ホームレスの人数が統計以来過去最少となったことから、自治体による生活困窮層の自立支援には一定の成果が見られるようだ。その一方で、多様化・複雑化するホームレス状態の人々に対する個別の施策はまだ十分とは言えない。若者をホームレスにさせないために、社会的分断を超えた議論が求められている。

(文/酒井理恵)

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