その意味でも、会社側が今回の調査に対する姿勢を明確に示し、チームには全面的に協力するよう求めることが不可欠です。会社側の誠実、かつ真摯な姿勢が見えなければ、所属するタレントやOBも安心して聞き取り調査などに臨むことはできません。

 実効性のある調査や再発防止策がつくれなければ、組織全体の改善や再生にはつながりません。個別の問題にピンポイントで対処したようには見えても、モグラたたきのように、いずれ違った形で別の問題が出てくるものです。それは大手企業などで相次ぐ企業不祥事をみても明らかでしょう。

はった・しんじ 1949年生まれ。青山学院大学名誉教授、大原大学院大学教授。博士(プロフェッショナル会計学)。金融庁の企業会計審議会委員、日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会(日本ガバナンス研究学会)会長などを務めた。著書に『第三者委員会の欺瞞』(中央公論新社)など。

(構成/AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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