性加害問題への対応のためジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」について、企業会計やコンプライアンスが専門の八田進二・青山学院大学名誉教授は「会社側の誠意と本気度が見えてこない」と批判する。再発の防止や組織の再生に向けてどんな役割を果たすべきかを聞いた。
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――記者会見をどのように受け止めましたか。
会見の受け答えからは、メンバーの誠実さは伝わってきました。その点は評価できますが、ジャニーズ事務所が本気で問題を解決しようとする姿勢は見えてきません。
――なぜですか。
藤島ジュリー景子社長や同社の幹部は、藤島社長が5月15日に謝罪動画を発表して以降、一度も表に出て説明責任を果たしていません。もともと「第三者委員会」そのものを設置しない方針が伝えられていました。ところが、今になってこの特別チームが「第三者委員会と受け取ってもらって差し支えない」と主張している。外部からの批判や反応を受けて取り繕った「後出しジャンケン」のように見えます。
まずは、この間にどんな経緯があってそう位置づけたのか、そして、メンバーをどのように選んだかをきちんと説明するべきでしょう。
問題の根は深く、長い期間にわたって隠ぺいされてきました。会社側が本気になり、特別チームに全面的に協力しなければ、いくら優秀なメンバーを集めても、実効性のある調査や再発防止策をつくることなどできません。会社側の協力がないまま作業を進めても、チームにばかり負担がかかる。無理に期限に間に合わせようとして、会社側に忖度した対策や提言になってしまうなんてことにもなりかねません。
そもそも、3人の委員では圧倒的にリソースが足りない。単に会社側が「やった感」を出すために、チームに丸投げしてしまっているようにも見えます。