――特別チームが本来果たすべき役割は。 

 通常の第三者委員会の場合、いつまでにどんなことをするべきか、調査や検証の対象や、委員会への委嘱事項や役割を明確にしたうえで仕事を任せるメンバーと契約を結びます。委員会のメンバーは、作業を進めるにあたって会社側から必要な協力を得ることを確約するとともに、万一、協力が得られないようなら、契約を破棄したり、委員を辞任する覚悟を持つことが求められます。 

 今回のジャニーズ事務所と特別チームの契約がどうなっているのか知る由もありませんが、チームのメンバーは仕事を引き受ける以上は最大限の努力をし、そのミッションを果たすべきであり、中途半端な妥協や忖度は許されません。仕事を引き受けたメンバー自身の信用にかかわるからです。 

 会見での発言から、ジャニーズ事務所と特別チームの間でどこまで話が詰められているのか見えてこない点も大変気がかりです。メンバーは安請け合いなどしてしまってはいないでしょうか。もし話が十分に詰められていないのなら、作業を進めるうちにあつれきが生じる恐れもあります。最悪の場合、チームが空中分解してしまうようなこともありえます。 

――今回の会見では提言をいつ発表するかの時期も示されなかった。

 第三者委員会の作業期間の目安は、多くの場合、大体3カ月、100日前後のようです。ジャニーズ事務所の規模で、この期間のうちに所属するタレントや会社幹部ら全員に聞き取り調査を実施するとしたら、メンバーが3人ではあまりにも貧弱です。必要な能力や適格性のある十分な数のスタッフを雇う必要があります。

 今回のケースのように、組織全体に蔓延する隠ぺい体質を明らかにすることを目的とした聞き取り調査では、ジャニーズ事務所に所属するすべての関係者を対象に、一律的、公平に行うことが不可欠です。限られた一部の人だけを聞き取りの対象にしてしまうと、誰が何を話したかといった情報は必ず洩れてしまいます。特別チーム座長の林眞琴氏が会見でも話していたように、刑事事件の捜査と、第三者委員会の調査のやり方は全然違う。ましてや、芸能事務所は企業形態として特殊な組織です。 

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実効性のある調査や再発防止策を