ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏による性加害問題に関して、ジャニーズ事務所が「外部専門家による再発防止特別チーム」を立ち上げ、6月12日に会見を開いた。チームの専門家3人のうち2人が出席し、活動内容について説明した。しかし、「第三者委員会」に詳しい郷原信郎弁護士は3人という人数について、「何も調査しないと言っているのと同じ」と疑問を呈する。
【大丈夫?】調査の実効性について疑問が出ている専門家チームの座長はこの人
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――記者会見を見て、どのように感じましたか?
ジャニーズの藤島ジュリー景子社長は、今回の性加害について事実として認めていません。そのため、ジャニーズ事務所が何を問題として、どう臨もうとしているのかわかりません。そのなかで第三者委員会が立ち上がり、記者会見をするというケースはあまり見たことがありません。
通常であれば、社長が出てきて、どういった問題があったのかを明らかにしたうえで謝罪をし、全容の解明と再発防止策の策定を第三者委員会に依頼した、ということで記者会見をすることになると思います。
社長が性加害の問題を認めておらず、しかも、社長が不在の中で会見を開いており、専門家チームを「弾よけ」のように使おうとしているのかなという印象がありました。
――SNSでは「『再発防止特別チーム』は『第三者委員会』とは異なる」、「調査が不十分になるのではないか」という懸念の声があがっていました。
名称が「第三者委員会」ではないという懸念については、特に問題だとは思いません。
ただ、しっかりと調べる気があるのか、という点については疑問を抱きました。
記者会見では「現役やOBに網羅的に調査するのか」という記者からの問いに対して、専門家チームの林真琴座長は「網羅的に調査はしない」と答えていました。その理由として、被害者の心に負担をかけてしまうことを挙げていました。
ただ、再発防止策をつくるためには、問題の全容がどうなっていたのかを知ることが必要です。たしかに、性被害について何も話していない人からヒアリングすることは難しいですが、調査対象者の心理的な負担のケアもしながらも、事案の全体像に迫ることは必要だと思います。