「ものみの塔」とはエホバの証人の機関誌だが、元信者らによると、それ以前に発行された「ものみの塔」には子どもへのしつけとして、「必要であればお尻を叩いたりします」という言葉が明記されていたという。教団側が、あえて2014年の「ものみの塔」の内容を引用している点に、元2世らは不信感を募らせる。
夏野さんは「いまだに信者はむち打ちを必要なことだと信じていると思います」と指摘する。むち打ちをなくすためには、教団がむち打ちは虐待であると公式に認め、2世、3世らに謝罪する必要がある。2人はそう強く訴える。
また、エホバの証人をめぐっては、「輸血拒否」や、教義に反する行為をした場合、「長老」と呼ばれる幹部らが会議を開き「排斥」の処分が下され、人間関係が断絶してしまうなどの問題も指摘されている。
「排斥されると家でも口をきいてもらえなくなり、義務教育が終わった後に家を出ていかされたり、高校に進学させてもらえなかったりしたケースもあります。親も、子どもに教義の正しさに気づいてもらうための『愛ある取り決め』だと信じこんでいるのです」(夏野さん)
排斥となった子どもが家を出た後、自殺する悲劇も起きたという。
元2世信者らがこうした問題を指摘する表明する一方で、教団や現役信者からはいまだに反応はない。
「恐ろしいほど静かです」(綿和さん)
教団による自浄作用は期待できないとして、宗教2世、3世への虐待を防ぐ法整備が必要だと強く訴えた。
(AERA dot.編集部・國府田英之)