そのためには来年9月の自民党総裁選で勝ち抜かなくてはならないが、決め手となるのが衆院選の時期だ。衆院選で自民党が勝てば、岸田政権はとりあえず最長で2028年まで安泰といえる。

 ではいつ衆院は解散されるのか。岸田首相は5月9日の衆院財務金融委員会で解散について問われ、「時の首相の専権事項として判断すべきもの」と答弁した。また5月15日には時事通信などの取材に対して「今後の情勢判断」とする一方で、「会期末の解散は考えていない」とも述べている。

 もっとも具体的な解散時期について、首相があらかじめ明言することはほとんどない。たとえば「社会保障と税の一体化政策」での3党合意の際に「近いうちの解散」を約束した野田佳彦元首相(当時、民主党)は、実際に解散するまでに約3カ月を要している。

 さらに解散に客観的な理由は不要だ。2017年9月の「国難突破解散」の例がある。この時、安倍首相(当時)はその理由として「北朝鮮による脅威」や「少子化対策」などを挙げたが、実際には民進党の蓮舫代表(当時)の辞任騒動や、幹事長に就任予定だった山尾志桜里氏のスキャンダル、これに続くゴタゴタ騒動に乗じて一気に勝負に出た。

 そのアドバイスをしたのが、麻生太郎元首相だ。麻生氏は2008年9月24日に首相に就任したが、その直前にサブプライムローン問題を発端にリーマン・ショックが勃発。その対策に追われて解散のタイミングを失い、翌年には民主党に政権を明け渡した。

 その反省をもって当時の安倍首相に解散を迫った麻生元首相は、今月16日付の北國新聞(本社・金沢市)に「解散 常識的には秋以降」とタイトルが付けられた談話を寄せている。もっともこのタイミングで麻生元首相が公に解散を煽る発言はできないし、その内容を見ても、躍進する日本維新の会やメンバーが100人となった清和会に限界がある点について述べられており、早期解散を封じようとするものではない。

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