古川隆久(ふるかわ・たかひさ)/1962年生まれ、日本大学教授
古川隆久(ふるかわ・たかひさ)/1962年生まれ、日本大学教授

 旧宮家の中には、結婚適齢期の方もいますが、本人はもちろん、父親と母親も皇族だったことはありません。祖父母が幼い頃に皇族だった時期があるだけで、その後は代々一般人として暮らしてきたわけです。天皇と血筋が離れている場合もある。その人たちの皇族復帰について、国民の理解は得にくいと思いますし、いずれ行き詰まってしまうでしょう。

 諸外国の王室の多くが長子相続です。男系でも女系でもきちんと血は繋がっていますし、いずれ王室での同性婚なども出てくる。そんな多様性あふれる時代に、日本が男系男子にこだわる理由を説明できますか? 中には、女性の社会進出やジェンダーフリーに反対する声があるようですが、それは自由な人権を認めていないということです。そんな状態では、日本に住む人はいなくなってしまいます。天皇が日本衰退の原因になりかねないということです。女性・女系天皇を容認してこそ、誰もが生きやすい国になるのです。

 皇位継承問題の先送りが続いています。令和への代替わりも終わり、小室眞子さんのご結婚をめぐる騒動も一段落。目立った行事のない今だからこそ、落ち着いて議論すべきです。次の代が生まれる前に、もっと言えば、悠仁さまが結婚適齢期に入る前にルールを整えておく必要があります。今すぐ始めないと、皇室は本当に絶えてしまうと思います。(構成/編集部・古田真梨子)

AERA 2023年6月12日号