「駐車場が飛び地になっていて、路線価もついていなかったので、評価がどうしても分かりませんでした。それで行き詰まり税理士に依頼しました」
口座の特定だけに2カ月を費やしたのがネックとなり、税理士に依頼した時には半年以上が経過。このため申告は期限ギリギリに。父親を自宅で介護した記録や領収書も残しておらず、弟との財産分与の際に「寄与分」も主張できなかった。こうした苦い経験を踏まえ、森永さんは自身の預金や証券、保険はリストを作成し、パソコンのファイルに保存しているという。
「ところが約2年前、パソコンが突然壊れたんです。そのときはお先真っ暗になってちょっと落ち込みました。幸い、カミさんが自分のパソコンにバックアップしていて事なきを得ましたが、パソコンは『突然死』するので夫婦間などで共有しておかないと危険です」
森永さんはさらに、お墓も生前に親の財産で購入しておくことを勧める。
「うちは母親が亡くなったときに郊外の都立霊園で新規募集があり、たまたま高倍率の抽選を経て格安で購入できました。お墓は相続財産になりませんから、親のお金で存命中に確保してもらうのがよいでしょう」
(編集部・渡辺豪)
■森永卓郎さんからアドバイス3カ条
・親が元気なうちに「資産リスト」を作ってもらう
・介護や生活費など生前の親にかかる費用はできる限り親自身に負担してもらう。立て替えた場合は必ず記録に残す
・お墓は生前に確保する
※AERA 2023年5月22日号