現代人の愛と性の悩みに回答する『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』(幻冬舎新書)が話題だ。著者は伝説のAV監督・代々木忠さん。心の奥まで写し撮るドキュメンタリーの手法でAVを撮り続け、長年、性と向き合ってきた。そんな“ヨヨチュー”の回答には、老後を変えるヒントも詰まっている。そこで、中年・熟年世代の「あるある」の悩みに回答してもらった。
【図表】男女でこんなに違う…シニア世代の性事情「したい?」「目的は?」
* * *
Q:セックスが好きじゃないのは問題ですか?
A:セックスが好きじゃない人はたくさんいます。嫌いとまでは言わないけれど、あまりしたくないという人まで含めると、セックスに興味を持てない人が多数派になろうとしている時代です。
生きる目的や意義は千差万別ですが、人はみな「快」によって生かされています。いい仕事ができたという達成感は快だし、功名心がくすぐられるのも快なら、収入が増えるのも快。人生における快は至るところに存在していて、セックスで気持ちよくなるのは、そのうちの一つです。
だからセックスなしの人生も、「今」に満足していれば、何の問題があるはずもありません。
余談ですが、人生を重ね、快を求め続けた先にあるのは「利他の心」ではないでしょうか。利他とは自分を犠牲にしてでも他人のために何かをすること。自分だけが幸せになるよりみんなが幸せになってくれたほうが嬉しい。人間とは、本来そう感じる生き物なのだろうとも思うのです。
Q:結婚生活が長すぎて愛がわからなくなります。
A:うちも結婚生活は長いですが、僕がたまにやっているのは、家族の思い出が詰まった昔の写真を見ることです。最初の子どもは生まれてすぐに死んでしまったのですが、そのあと女房と二人で行った伊豆の遊覧船に乗っている彼女のスナップ、そのあと生まれた娘が幼い笑顔で女房と笑い合うスナップなど「あぁ、こういうときがあったなぁ」と家族の歴史を思い出すような写真を見るんです。そうすると胸にじんわりとしたものを感じます。