KTバランスチャート(R)の5段階評価は「1点:かなり不良もしくは困難/2点:不良もしくは困難/3点:やや不良もしくは困難/4点:概ね良好/5点:かなり良好」と評価します。点数の高い項目は維持に努め、点数の低い項目は1点ずつでもステップアップする方法を検討しましょう(「口から食べる幸せを守る会」のHPから一部抜粋)
KTバランスチャート(R)の5段階評価は「1点:かなり不良もしくは困難/2点:不良もしくは困難/3点:やや不良もしくは困難/4点:概ね良好/5点:かなり良好」と評価します。点数の高い項目は維持に努め、点数の低い項目は1点ずつでもステップアップする方法を検討しましょう(「口から食べる幸せを守る会」のHPから一部抜粋)

 急性期病院の場合、在院日数も長くはなく、嚥下の回復に至るための訓練には消極的なのだ。

 では、どうすればいいのか。小山さんはこう話す。

「大事なのは患者の家族も勉強して、ある程度の知識を得ておくこと。本当に経口摂取はダメなのか、と検査をしているところを見せてもらう。実際の場面に自分も同席することが大事。ただ、同席しても何をどう見ればいいのかわからない。正しい検査をしているのか、という評価すらできない。同席するからには安全な嚥下の知識を事前に得ておくことが必要です」

■悔いのない決断できるのか?

 小山さんは、食べる支援に必要な要素を専門家でなくても評価でき、どのようにケアすれば食べる力が改善していくのかという視点から状態を診断する評価ツール「KTバランスチャート(R)」を作った。

「口から食べる」ための要素を医学的視点だけでなく、食べる意欲や口腔(こうくう)状態、認知機能や食事動作、姿勢など13項目に分類。それぞれの項目を5段階で評価し、全体のバランスを確認する。不足している部分はケアやリハビリテーションを充実し、伸ばしたい点や強みのアプローチへとつなげていくという。

 前出の安田さんは、

「それまで食べられていた方がいきなり肺炎を起こしたからといって、急に人生の最期っていうふうに言われてしまうのもおかしな話だと思います。回復するために何かチャレンジして、それでもうまくいかないということであれば手を引かざるを得ないということはあると思うんです」

 との見方だ。

「『看取り期です』と言われたからと、うちの病院に来られる患者さんはいます。でも食べられるようになって退院される方も結構な数いらっしゃいます。心不全と肺炎になった96歳の方が、ご家族の『最後に何か好きなものを一口でも』との思いでうちに来られて、結局その後、3食食べられるようになって天寿を全うされました。『看取り期です』と言われてから2年近くお元気だったそうです」

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