大学で学び直したいと願うシニア世代は多い。とはいえ、自分の孫と同じくらいの年頃の学生と机を並べるのは……と抵抗を感じる人も多いことだろう。そんな読者に朗報。50歳以上限定で“新入生”を募集するプログラムがあるのだ。今春、その課程を修了した1期生が、40年ぶりの大学生活を紹介してくれた。
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セミナー講師やラジオパーソナリティーを務める佐藤みふゆさん(63)は昨年1月、あるキャッチコピーに目を留めた。
「人生100年時代の大学 遅すぎる学びはない。」
早稲田大学が昨春始めた「ライフ・リデザイン・カレッジ」(LRC)の広告である。50歳以上50人(今年度の2期生は70人)を募集。これからの生き方をデザインするためのライフ・リデザイン科目群、専門科目群、ゼミナールから、12科目以上を受講できるという。
「SDGsやソーシャルビジネスなど、私たちの大学生時代にはなかった新しい学びがあることに魅(ひ)かれ、入学しました。おかげで今までの人生経験の棚卸しをしたうえで、経験と知識とを再構築。今の社会に自分がどう貢献していくかを考えることができました」
と佐藤さんは語る。
ゼミではコミュニケーションを選択。また、10年ほど前から日本の歴史や神社仏閣に興味を持つようになったので、熊野信仰や伊勢神宮に関する授業を取って、楽しく学べたという。課外活動の一環として神宮球場で早慶戦を観戦。慶應OBもこの日は早稲田の校歌を歌うなど、皆でキャンパスライフも楽しんだ。
「1期生は男性6割、女性4割くらい。男性は定年退職をした60代後半の方がほとんどで、最年長は72歳くらい。女性は、非常勤で学校の先生をしていたり、テレビ番組の制作プロデューサーをしているなど、今も働いている方がいました」
この男女の違いは、受講生たちの前半生の「仕事」が影響しているのかもしれない。
佐藤さんは東京女子大学文理学部を卒業。男女雇用機会均等法もない時代に法律事務所で働いた後、見合い結婚をして専業主婦に。夫の仕事の関係で香港、アメリカ西海岸で暮らし、アラフォーで帰国。教員免許は持っていたが、年齢制限で教職には就けず、アラフィフでコーチングやカウンセリングを学んだうえで、今の仕事を始めた。前半生で好きな仕事をできなかったと感じている。