加工品の仕込みがある日の川島さんの朝は、それから2時間後、夜中の2時というから相当早い。主力商品の一つが、カツオの焼き節にニンニクを利かせた「漁師のラー油」だが、これらの仕込みは今も、川島さんが自ら行う。朝9時ごろから行う瓶詰め作業までに焼き節を冷ましておく必要があるため、大鍋を使った仕込み作業の開始は、必然的に夜中からとなる。まとめて千個分ほど仕込むときには、大鍋で何度も繰り返し、仕込みを重ねる。
「昔、カツオ船に乗りよったときから料理が好きで、コック長の代わりに食事を作ったこともけっこうあった。カツオはダシがよく出るき、カレーとか八宝菜に、肉の代わりに入れてもうまい。そういうカツオの使い方が、組合の商品作りにもいきちゅうがよ」(川島さん)
過去には自分の音楽CDを出したこともあるほど音楽好き。仕事の合間には、パソコンで音楽を作ったり、ギターを弾いて歌ったり。ITスキルも高く、「趣味で専門学校の夏期講座で習った」というデザインソフトを使いこなし、ポスターやチラシも自分で作るから驚きだ。
「元気でおるには、目的があるというのが大事やと思う。これをやらな、あれをやらなと予定や段取りを考えゆううちが花やね」と川島さん。体の不調はほとんどないが、数年前から少し喘息が出るようになった。
「まあ、たばこを1日2箱吸いゆうき、喘息にもならあ(笑)。でも毎日、うまい魚を食べゆうき十分元気。漁師の友達からもらう、ほんの2~3時間前に釣れたばかりのビリビリのカツオをニンニクで食べるのが最高やね。まだまだ道半ばで続けていきたいき、元気でおらないかんね」(同)
■1日でも休むと相場感がずれる
お次は71歳にして、一年のうち、「休みは元日だけ」という驚異の営業スタイルを貫く松沢章夫さん。「八百虎」の屋号で、母親から受け継いだ青果店を営む。松沢さんの一日は、毎朝6時半ごろに、隣町にある市場に仕入れに行くことから始まる。毎日欠かさず市場に行くのが松沢さんの鉄則。無論、状態の良い青果を仕入れるためだが、仕入れ値の相場を常に知っておくためでもある。