3つ目が、南スーダンにおける自衛隊の国連平和維持活動(PKO)で起きた大規模な戦闘の問題。これについて安倍氏は国会で「戦闘行為ではなかった」「勢力と勢力がぶつかった」と認識を示しました。
しかし、その後、陸上自衛隊の日報で「戦闘」があったと報告されていたことが発覚すると、稲田朋美防衛相(当時)は「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と答弁しました。憲法無視の発言です。
国がこれまで積み上げてきた法律や憲法などの制度を軽視する姿勢は、保守の態度ではありません。
岸田首相は保守層を意識して「安倍氏の思いを引き継ぐ」などと発言しています。そして、他国に脅威を与える攻撃的兵器は保有しないという政府の憲法解釈を180度変え、防衛予算も2倍にするとし、大きな反発を生んでいますが、強硬に突き進んでいます。
何度も言いますが、憲法や法律、制度を無視する態度は保守ではありません。マイナンバーカードで問題が噴出しているのも、安倍的なやり方で突っ走った結果でしょう。
旧統一教会の問題も、安倍氏が保守ではないことを表しています。旧統一教会といえば、日本を「サタンの国」と位置づけ、反日的な教義を持った宗教です。
しかし、岸田氏は、多くの議員が旧統一教会と関係があったことは認めたものの、党内での調査はなおざりに、踏み込んだ対応はしませんでした。
そうこうしているうちに、統一教会と関係が深いとされる安倍派の萩生田光一自民党政調会長が、安倍氏の死後から空席になっている派閥の会長職について「議論を加速させてもいいのではないか」と発言しました。そして、旧統一教会との関係を国会で追及され、事実上の更迭となった山際大志前経済再生相も、次期衆院選の神奈川18区の公認候補として擁立されることが決まりました。
自民党は、こんな団体と深い関係を持っていた安倍氏や国会議員に怒り狂うどころか、時間がたてば国民も忘れるだろうという意識すら感じます。