最後は騙されたほうも「参りました!」と脱帽するような外野手の名演技を紹介する。

「世界一うまく決まった!」と評されたのが、日本ハム時代の陽岱綱のフェイクプレーだ。

 16年5月5日のソフトバンク戦、7回からシーズン初登板のマウンドに立った斎藤佑樹は、1死から中村晃に中前安打を許し、次打者・鶴岡慎也の打球も中越えの長打コースと思われた。

 だが、背走して打球を追っていた陽がフェンス手前でくるっと向き直り、あたかも捕球するように見せかけたことから、一塁走者の中村は躊躇して二塁止まり。直後、斎藤は満塁のピンチを招くも、併殺でスリーアウトを取り、結果的に陽の演技が失点を食い止めた。

 阪神時代の福留孝介も同様のトリックプレーを披露しているし、大沢啓二も南海外野手時代、打球をトンネルしたフリをして、2、3歩走ったあと、振り向きざまの送球で二塁を狙った打者走者をアウトに仕留めたことがある。

“球場中が騙される”ビックリ仰天の名演技を期待するファンも多いはずだ。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。