そして、前述した麺についてもひとつ注文をつけた。
「麺は油揚げ麺よりもノンフライ麺のほうがよかったのでは。『日清ラ王』シリーズ、『マルちゃん麺づくり』シリーズなどではノンフライ麺が主力ですが、ラーメン店の味を再現するには、本当はノンフライ麺の方が適しています」
カロリーや成分についてはどうか。ほぼ同じ分量の「カップヌードル シーフードヌードルBIG」は熱量477キロカロリー、食塩相当量6.4グラム、脂質20.2グラムとなっている。これに対して「みそきん」ラーメンは、熱量511キロカロリー、食塩相当量8.0グラム、脂質24.2グラムと、いずれもカップヌードルを上回っている。
「カップ麺を食べるのであれば、477と511キロカロリーの差は気にするほどではないと思います。ただし、塩分相当量8グラムというのは高い。厚生労働省では1日の塩分摂取量の基準を、成人男子で7.5グラム未満、成人女性で6.5グラム未満と定めています。つまり、『みそきん』1食でそれをオーバーしてしまう。せめて、塩分は6~7グラム台に抑えられたのではないかと思います。実際、『みそきん』を食べると、しょっぱさを感じました。塩分はラーメンにとって重要な要素ですが、しょっぱいところまでいくと、味付けが成功したとは言えません」(大山さん)
価格とカップのデザインの“バランス”についても再考の余地があるという。大山さんは「縦型ではなく横型の丼型にしてほしかった」と話す。
「カップヌードルに代表される縦型カップは簡単に食べられる『安さ』や『手軽さ』を印象づけます。そのため、値段が安くないと成立しない仕様なんです。そういう意味で、『みそきん』は大きな丼型のカップにすべきだったのではないかと思います。少し高くてもいいので、丼型のカップで、多くの具材が入った商品を作ってほしかったという気持ちです。2021年に販売された『一蘭 とんこつ』の丼型のカップラーメンは定価490円(税込み)です。ノンフライ麺で、秘伝のたれなど3つの小袋がついている。日清食品が今年発売した『日清ラ王』シリーズの『濃香トリュフ醤油』は定価550円(税込み)。トリュフがスープに使われているぜいたくな味になっています。サンヨー食品の『名店の味 純連 札幌濃厚みそ』はスープ、具材など4つの小袋がついています。4つ開けるのは少し面倒ですが『相当のこだわりがあるのだな』と感じさせますよね。HIKAKINも自分だけのこだわり食材を入れるなど、もうひとつ個性を出してほしかったところです」