一方で上手くやりくりしている印象を受けるのがヤクルト阪神だ。ヤクルトは昨年まで抑えを務めたマクガフ(現・ダイヤモンドバックス)の穴を田口麗斗が見事に埋めている。ボールの力であれば木沢尚文や清水昇、経験であれば石山泰稚という候補がいる中で、適性を見極めて田口を起用した高津臣吾監督の手腕が光ったと言えるだろう。また阪神も開幕時点で抑えだった湯浅京己が故障で離脱しているものの、昨年も抑えを務めた岩崎優がしっかりと代役として機能している。これを見ると、絶対的な守護神に頼るのではなく、抑えを任せられるだけの投手を複数揃えておくことが重要だと言えそうだ。

 続いてパ・リーグだが、こちらも外国人投手のオスナ(ソフトバンク)が圧倒的な安定感を見せている。ここまで14試合に登板して1点もとられておらず、9セーブ、4ホールドをマーク。与えた四死球も0で、WHIPは中日マルティネスを上回る0.43をマークしている。スピードはもちろん変化球も抑え投手にしては多彩で、コントロールも安定している。セーブシチュエーションでの登板が増えてくれば、メジャーに続いて日本でもタイトルを獲得する可能性は高いだろう。

 オスナ以外は既に日本で実績のある投手が抑えを任されているチームが多いパ・リーグだが、ここまでは明暗が分かれている印象だ。松井裕樹(楽天)、益田直也(ロッテ)、平野佳寿(オリックス)の3人はここまで大きく崩れるケースはなく、抑えとしてしっかりと役割を果たしている。中でも松井は12試合に登板してセーブこそ6ながら自責点は0、奪三振率は14.21と昨年に続いて好調を維持している印象だ。4月5日には史上最年少で200セーブも達成しているが、順調にいけば名球会入りの基準となる250セーブ、さらには300セーブの大台も十分に射程圏内と言えそうだ。ただ益田と平野の2人に関しては完全にベテランという年齢となっているだけに、シーズン中の守護神変更も考えられるだろう。

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長年クローザーを務めた男がピンチに…