ここ数年なかなか抑えが固定できなかった日本ハムも、近藤健介(ソフトバンク)のフリーエージェントでの移籍に伴う人的補償で獲得した田中正義がここまでまずまずの成績を残している。特に奪三振率10.69、WHIP0.81という数字はクローザーとして十分な数字であり、ストレートの勢いはパ・リーグのリリーフ投手の中でもトップクラスであることは間違いない。これまで度重なる故障に苦しんだだけにコンディションの面では不安が残るものの、今の状態が続けば上位進出を狙うチームにとって大きな存在となりそうだ。

 そして直近で最も抑えに苦しんでいるのが西武だ。長年抑えを任されてきた増田達至がここまで12試合に登板して5試合で失点を許し、防御率6.94と低迷。ストレートにかつてのような勢いが感じられず、そのことで変化球の威力も半減しているように見える。基本的にストレートで勝負してきたタイプだけに、今の状態が続くようであれば9回を任せるのは難しいように見える。代役としては森脇亮介やルーキーの青山美夏人などが候補となるが、来年以降のことを考えてもさらなる若手の台頭や補強も検討する必要がありそうだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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