投手の完投数が減り、継投で戦う試合が大半となっているプロ野球。それだけにリリーフ陣の整備がペナントレースを制するために重要となるが、勝敗に直結する役割となるのはやはり抑え投手だ。開幕前に想定していたクローザーが安定感を欠いているケースや、故障などで離脱している球団も少なくない。開幕から約2カ月が経過した時点での12球団の抑え投手事情をまとめてみたいと思う。
まずセ・リーグで現在ナンバーワンの安定感と言えるのがマルティネス(中日)だろう。昨年は39セーブで初の最多セーブのタイトルを獲得。今年も5月3日の阪神戦で味方のエラーから逆転負けを喫したものの、それ以外の13試合は全て無失点に抑え、防御率0.00、奪三振率13.15、WHIP(1イニングあたりの被安打+与四球)0.69と圧倒的な数字を残している。ただチームはここまで12球団で最低勝率のセ・リーグ最下位に沈んでおり、マルティネスが宝の持ち腐れ状態というのは残念なところだ。リードしてマルティネスに繋ぐ試合を増やすことができれば、2年連続のタイトル獲得も見えてくるだろう。
ただセ・リーグは中日以外の5球団は開幕前の期待通りにはなっていないという印象だ。昨シーズン復活を果たした山崎康晃(DeNA)はここまでリーグトップタイの11セーブをマークしているものの、18試合中5試合で失点しており、既に3敗を喫するなど安定感を欠いている。スピードは150キロを超えていても簡単にとらえられるシーンも目立ち、力勝負で押しきれていないのが現状だ。この状態が続くようであれば、再び中継ぎへ配置転換という話も出てくるだろう。
過去2年万全の働きを見せていた栗林良吏(広島)もワールド・ベースボール・クラシック(WBC)中に腰を痛めた影響もあってか既に4敗を喫し、現在は二軍で調整となっている。また同じくWBCに参加した大勢(巨人)も負けはついていないものの、直近で登板した5試合中3試合で失点するなど少し安定感を欠いている印象だ。広島は矢崎拓也が栗林の代役としてここまで安定した投球を見せているが、巨人もどこかのタイミングで大勢を休ませる必要が出てくることも十分に考えられるだろう。