今季も開幕から投手として大活躍。現地5月9日終了時点で4勝1敗、防御率2.74、ア・リーグトップの66奪三振と素晴らしい成績を残している。だが、二刀流としてプレーしている以上、同賞に選出されるハードルは非常に高いという。

「大谷が(サイ・ヤング賞を)受賞する可能性は低いでしょう。投打の二刀流をやっている限り中5日登板が主になる。中4日が多い他球団のエース級に比べて登板数が少なくなる。投手ナンバーワンを決めるサイ・ヤング賞では不利に働く。世界一球団の絶対的エースやシーズン無敗、複数回のノーヒッター達成など、よほどのインパクト必要になる。打者としての活躍は全く関係ないですから」(MLBアジア地区担当スカウト)

 現代野球では不可能とされていた投打の二刀流で活躍していることが、全米を巻き込んで人気を得ている要因の1つでもある。しかし逆にサイ・ヤング賞などタイトル獲得の足かせになってしまっているのは間違いない。

「本人も割り切っているのではないでしょうか。昔から個人記録以上にチームの勝利を大事にする。例えば状況によっては自ら進塁打を打つ。与えられた場所でチームのためにできること、結果を出すことに全力を注ぐ。マウンドでは相手をゼロに抑え、打席では得点につながる打撃をすることしか考えていないのではないか」(日本ハムOB)

 サイ・ヤング賞受賞に関してはハードルが高いが、野球殿堂入りとなると話は変わってくる。グラウンド上の実績はもちろんだが、野球史に残るような強烈な印象を残した大谷については早くも「殿堂入りの可能性は高い」という見方も多い。

「二刀流で試合に出続けるだけですごい。投打両方でチームの柱となり、トップクラスの成績を残している。将来的には成績が下がったり、投打のどちらかに軸足を置くかもしれない。そうなっても故障などせず、コンスタントに試合に出続ければ殿堂入りの可能性は高い」(MLBアジア地区担当スカウト)

 米国の野球殿堂入りは、MLBで10年以上プレーし現役引退後5年以上が経過した選手が対象となる。全米野球記者協会(BBWAA)の適性審査委員会で候補選手となった場合に、投票によって殿堂入りの可否が決定される。野球選手としては最大の名誉とされ、想像以上にハードルは高く、長きにわたって活躍したスタープレイヤーでも殿堂入りを逃した人物は少なくない。

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二刀流での活躍は殿堂入りには有利?