ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のごんたちゃんです。
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ごんた(雄、推定6歳)と出会ったのは、通勤時に使っていた自転車置き場でした。
仕事から帰ってくると、「にゃあ~」と声をかけてくれるのです。朝と帰りに声をかけられるのが楽しみになりました。通勤、通学の人に餌をもらっている地域猫でしたが、毎日通って餌を届けるようになると、ゴロゴロ言っておなかを見せてくれるようになりました。
一度きりですが、プレゼントのハトをくわえてきたときにはびっくりして全力疾走で逃げました。
去年、飼い猫が病気で亡くなって、外で年を重ねてきたごんたをわが家に迎えることにしました。民家の屋根に上ったり、駐車場を走り回ったりするボス猫だったごんたが、家になじむかとても心配でした。
家族はもとより、彼に餌をやっているほかの人たちとも何回も話し合いました。みなさん、ごんたの幸福のために、地域のアイドルを私に託してくれました。
動物病院の健康診断では問題なしでしたが、ものすごい鳴き声と、ケージから出すと天井まで駆け上がる姿に、どうなるかと悩みました。
もう少し、もう少しと思っているうちに鳴かなくなり、隠れている場所から出て姿を見せるようになって、半年が過ぎました。いまではすっかり家猫です。
ごんたと呼ぶと「うぇい」と返事します。キャットタワーから動かなかったのが遊ぶようになり、冷蔵庫が開くとやって来て食べ物を催促します。
何よりも驚きは、とてもおとなしく、聞き分けのよいことです。今でも多少遠慮があるのかもしれません。
ごんたを可愛がっていた地域の皆様、ありがとう。大切にします。(埼玉県草加市/62歳/講師)
※長きにわたるご応募ありがとうございました
※週刊朝日 2023年6月9日号