「友情」という人間の概念を
クマは理解できるのか

『人間とクマは「友達」になれるのか?』(GIZMODO、17年3月23日)でインタビューに答えたイスラエルの生態学者によると、クマは野生動物で、「友情」という観念は人間の作ったものであり、クマは人間の作り出した「友情」というコンセプトが理解できないのだという。よって、母グマが子どもを守ろうとしたからか、冬眠前で手当たり次第に食べ物を探していたからか、人間の手からものを食べていたクマが、次の日にはその人を食べてしまうこともあり得るのだという。

 やはり、クマは「友情」を理解できないのだろうか。

 その報道に真っ向から反論していたのが、一般社団法人日本森協会の顧問である宮沢正義氏(96歳、22年11月29日当時)だ。宮沢氏は10頭のツキノワグマと20年間家族として暮らしてきたという。宮沢氏は、人間とクマの間に友情は存在すると話す(以下、引用は「一般社団法人日本熊森協会ホームページ」より)。

「クマはね、噛むことで親しみを表す動物なんだ。クマ同士遊ばせておくと、楽しそうに首とか絶えず噛み合っているよ。好きな人がいたら、どんどん噛んでくるよ」

「クマの皮はものすごく厚くて硬いから、クマ同士はどうもないが、人間は皮膚が薄いから、こんなことされたらひとたまりもない」

 つまりクマにとっては戯れているつもりなのかもしれないが、丸山さんは不幸にも人間としてその戯れに付き合っていたら死んでしまったのではないかということだ。先の丸山さんが殺害された事件については、こう解説している。

「事故後、クマ(オス、80キロ)は、丸山さんのすぐ横をうろうろしていたというから、逃げ出そうとしたわけでも、丸山さんを噛み殺してやろうとしたわけでもなく、最大の親しみを込めて抱き着いていっぱい噛んだら、丸山さんが倒れてしまったので、戸惑っていたことが考えられます。クマ君は、自分がなぜ射殺されねばならないのか、訳がわからなかったと思います」

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