週刊朝日 2023年3月24日号より
週刊朝日 2023年3月24日号より

「当社株式の投資魅力を高め、より多くの方々に中長期的に保有していただき、グループに対する理解を一層深めてもらう」(広報グループ)ことが導入の理由だ。

 業務用厨房(ちゅうぼう)機器大手の中西製作所が新設した優待は、保有株数や期間に応じてオリジナルデザインの「マックカード」がもらえる。今年8月に創立100周年を迎える老舗工具メーカーのロブテックスは、100株以上の保有で1千円相当のクオカードがもらえる優待制度を作った。

 食品などモノの値上がりは続いている。好みや必要な商品・サービスがもらえるなら、各社が言うように、投資の魅力は一段と増すだろう。1月に優待制度の導入を発表したネット広告大手サイバーエージェントは、昨年12月の株主総会で複数の株主から提案されたことが創設のきっかけとなったと打ち明ける。投資家の期待は根強い。

 地銀の動きも目立つ。京都銀行は、200株以上を持つ株主を対象に「ことよりモール」と呼ぶ同行のグループ会社が運営するオンラインショップでの4千円相当の買い物か、ショップで扱う3千円相当の指定品がもらえる優待を創設した。

 広報担当者は言う。

「長い目で見て個人投資家の持ち株比率が下がってきたこともあり、より多くの方々に保有してもらう目的で導入しました。優待品にことよりモールを選んだのは、もともと地元企業の応援のため取引先の商品を扱ってきたことが挙げられます」

■「長く、多く」に充実した優待が

 既存の制度を拡充・強化する会社もある。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、今年9月30日の基準日以降、3年以上継続して100株以上保有している株主に対し、毎年12月に現行の株主優待制度に追加して1枚の入園券を配ることにした。

 同社の優待は個人投資家から人気だ。同社は4月1日付で株式1株を5株の割合で分割し、最低投資金額を引き下げる。新しい優待制度とあわせ、投資家層を広げる狙いがある。

 やはり投資家に人気のJR九州は、最低100株以上から保有株数や期間に応じてもらえる鉄道優待券を、今の「片道の運賃・料金を5割引き」(割引券)から、利用するその日は普通・快速列車が乗り放題の「1日乗車券」に変える。お得度はよりアップする。居酒屋「塚田農場」などを運営するエー・ピーホールディングスは、優待を年1回から2回に増やす。

 前出の濱口さんは言う。

「優待制度の変更は、株主にとって有利になるものもあれば、不利になるものもある。より長く、多くの株式を持つ株主に対して、より充実した優待が受けられるように変更する傾向があります。優待の内容や条件はしっかり確認しましょう」

 優待を受けたいなら、権利確定日の2営業日前である「権利付き最終日」までに株を買っておく必要がある。3月末が権利確定日の銘柄の場合、今年の権利付き最終日は29日。まだ時間はあるのでしっかりと吟味しよう。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2023年3月24日号

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