男ばかりのイメージがある理系大学が変わりつつある。
【超速報ランキング】東大合格者数トップ20。上位に食い込んだ名門女子校とは?
国立トップ校の一つである東京工業大学は学校推薦型選抜や総合型選抜入試に「女子枠」を導入し、女子学生を増やしていく方針を決めた。「女子優遇」との批判もあるが、「理系女子」が増えれば社会が変わるかもしれないとの希望からだ。
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東京都立大学4年生の太田葵さん(22)はシステムデザイン学部に所属し、さまざまな知識のつながりを構造的に示す「知識グラフ」を用いた研究をしている。
春からは大学院に進学予定で、将来的には人とともに料理をはじめとする家事を行うロボットなどのシステムを作ることが夢だ。
理系だった父親の影響で、幼いころから科学に親しんできた。小学1年生でコンピューターを使いこなし、中学2年生のときにテレビで見たロボットコンテストなどの影響もあり、高専に進学した。
「ロボットが控えめに言ってもかっこ良すぎて」
そう笑う太田さんだが、高専では1クラス約40人のうち女子が5~6人。「男子校の中に一人だけ交ぜられているようで、よく疎外感を持っていました」という。
都立大に編入してからは、以前ほど疎外感を抱くことは減ったが、「学科全員がそろう実験の授業は、男女比が8対2。研究室でも日本人の女子学生は私一人で、さすがに少ないなとは感じます」と話す。
日本の「理系女子」の少なさは、海外に比べても際立っている。内閣府の資料によると、国内の大学に入学した女性のうち、理工系を選んだ人は7%で、OECDの平均15%の半分の水準だ。英国や韓国、ドイツなどは20%以上が理工系の学部に進学している。
そうした状況を少しでも解消しようと、大学側も動き出している。
東京工業大学は2024年4月入学者を対象とした総合型選抜・学校推薦型選抜に「女子枠」を導入する。まずは58人を募集し、25年度は85人追加して計143人とする。女子枠だけで全学院(学部と大学院を統合した組織)の募集人員の14%程度となる見込みだ。