作家や音楽家、医師など、その道の専門家が過去3年の映画について語る。
ロボット工学博士・古田貴之は「人は人に介護されるのが一番」という理由から介護ロボットに反対だが、アメリカ映画「素敵な相棒」は楽しんだ。一人暮らしの頑固じいさんのもとにロボットヘルパーがやってきて、じいさんの健康によかれと、さまざまな行動を強制する。だが、じいさんは次第に元宝石泥棒だった本領を発揮。ロボットに鍵の開け方などを教えてどんどん元気になっていく。自発的になにかをさせようとするロボットの描かれ方は、技術的に可能な範囲という。
社会活動家・湯浅誠が取り上げるのはフランス映画「キリマンジャロの雪」。会社から人員削減をまかされた50代の主人公は、自らも解雇される側にまわる。だが、同じように解雇された若者から怒りを向けられる。より大きな困難を抱えていたのだ。その若者の環境は日本にいる「典型的なワーキングプア」と湯浅は言う。ほかにも恋愛ものや音楽映画など幅広いジャンルが揃い、映画を観る前にも観た後にも楽しめる。
※週刊朝日 2013年11月15日号