
更年期の不調を抱えながら働いている女性たちがいる。だが、職場の支援体制が追いつかず、更年期の症状を職場に相談しにくいのが現状だ。女性たちが苦悩を打ち明けてくれた。AERA 2023年3月13日号の記事を紹介する。
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更年期の症状を抱えて働く女性たちが挙げた悩みで、特に多かったのが、「周囲への相談しにくさ」。例えばこんな声もあった。
「母の介護をきっかけに更年期の症状が強まり、メンタルが落ちる日が増えた。勤務先は産休や育休の制度は整っているし、がん患者に対しては休暇を寄付し合うドネーションの制度まであるのに、生理や更年期のことは、まだ言い出せる雰囲気ではない」(大使館勤務、45歳女性)
女性の健康とメノポーズ協会の三羽良枝理事長は言う。
「更年期の不調を感じた時に、ちゃんと対策があることを知らない人が、いまだに多い。職場で相談する窓口もなく、相談する雰囲気すらないのが実情。もっとオープンに相談できる環境をつくって、職場の心理的安全性を高めることが喫緊の課題です」
管理職となると、相談先はさらに狭まるという。
外資系製薬会社に勤務する管理職の女性(52)は、50歳で閉経した。今も更年期の症状と付き合いながら働いている。
更年期症状がピークに達したのは、2年前。一番強い症状は、めまいだった。ちょうど期限のあるミッションを複数掛け持ちしていた時期と重なった。同時期に地方に住む母親の遠距離介護も抱えていた。そんな状況下で、休日に時間を捻出して行ったジムで、軽い運動しかしていないのにめまいで倒れたこともあった。女性はこう打ち明ける。

「長年、女性管理職は私一人という職場環境もあり、更年期のことは誰にも打ち明けられない時期が長かったですね。それに、管理職の立場だと、なかなか弱音を吐きにくい。逆に男性社員ががんで入院した際は、体調や欠勤などの相談を受ける立場でしたし。今ではその社員は元気に職場復帰していますが、相談を受けた折は自分のつらさは隠して、『大丈夫。不在時の仕事は私が引き受けるから』と休日を返上して仕事をカバーする側にまわっていました。本当は、管理職も弱音を吐いたっていいはずだし、そうできる体制が作れるといいですよね」
女性は、管理職にも、キャリアや体調のことを相談できるメンターが必要だと話す。
「特に、管理職の立場を理解し、更年期の年代ならではの経験も豊富な人材に相談できる場がほしい。社内に管理職の女性が少なければ、社外の人材をメンターとして登用する手もあります」
(ジャーナリスト・古川雅子)
※AERA 2023年3月13日号より抜粋

