日本近現代史関係の著作に定評のある著者が、戦後日本史を振り返りながら歴史の捉え方を解説した一冊。
主張内容はきわめてシンプルだ。歴史は、つねにある立場からの解釈を通じて作られる。同じ出来事を誰が、どのような立場から語るかによって複数の「戦後史」が存在する。沖縄や女性、在日コリアンなど社会的マイノリティと呼ばれる人々の視点から描かれる戦後史は、その顕著な例だろう。例えば今年、サンフランシスコ平和条約の発効日である4月28日を、敗戦後の占領から日本が脱した「主権回復の日」として式典を開こうとする政府の動きに対し、沖縄から強い反発が起こった。沖縄からすれば、同日はむしろ施政権が返還される1972年まで米国の占領下におかれるきっかけとなった日に当たる。本土にとっては祝いの節目となる日が、沖縄からすれば屈辱の日という真逆の歴史解釈がそこには存在するのだ。
歴史が作られてゆくダイナミズムを味わえる。主なターゲットは若年層だが、大人の学び直しにも良い。
※週刊朝日 2013年10月4日号