撮影ポイント地図
撮影ポイント地図
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 富士山は日本有数の高山でありながら、比較的短時間で周囲を移動できる稀有な山でもある。時間を追って変化する太陽のライティングに合わせて、かなり自由に撮影ポジションを変えられる。

 今回の特集では、撮影テーマである「赤富士」「雲と富士山」「前景と富士山」に合わせて、午前中の順光での撮影方法や撮影ポイント(上の地図の1~8)を紹介したが、逆光や半逆光で富士山をとらえるなら、山の西側にある朝霧高原や本栖湖方面から写すことになる。

 夏場は霞が濃いため、夕方の撮影は難しいが、台風通過後や秋風が吹いてくると空気は澄みわたり、朝は山中湖側から、夕方は本栖湖側から撮るなど、交通の便のよさをフルに生かした撮影も可能になる。
 今回は紹介できなかったが、富士山の五合目まで登り、周辺を散策すると、高山植物の花を目にすることができる。日本アルプスのように広大なお花畑をつくることはないが、ひっそりと咲く富士の野花には味わい深いものがある。

 私が営む「日の出館(吉田口七合目)」の周辺にはヤナギランの群落があり、夏になると鮮やかな紫色の花をつける。ほかにもタカネバラ、トリカブト、トモエシオガマ、ベニバナイチヤクソウ、イワヒゲなどが咲き、絶好の被写体となる。

 7月からは8月にかけては富士登山の最盛期。約2700メートルの七合目からは影富士や雲海、雷雲、下界に広がる夜景なども写せる。 つまり、富士山は周囲の水平方向の移動だけでなく、標高差を生かした垂直方向の移動をすることで、さまざまな被写体を撮影できる。あまりにも撮影予定を詰め込みすぎて、日程に余裕がなくなってしまうのは考えものだが、上手に予定を組めば充実した富士山の撮影が楽しめるだろう。

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富士山周辺撮影ポイント
アサヒカメラ8月号「夏富士撮影ガイド」より。詳しい撮影テクニックなどは本誌8月号の特集をご覧下さい)

1.河口湖北岸・大石公園 公園内の花と一緒に富士山が撮影できる
2.滝沢林道 一般車は3合目ゲートまで。標高があるためふもとより霞がかかりにくい
3.山中湖村平野 湖越しの富士山が撮影できる
4.北富士演習場 野草やススキを全景に撮影ができる。日曜日のみ立ち入り可能。撮影は「黙認」されているのでマナーを守ること。
5.御殿場 朝方の富士を狙うにはこの方面からも。
6.篭坂峠 古くから富士のビューポイントとして有名。雲がわき立つ天候の日など狙い目
7.忍野村内野 休耕田を利用したコスモス畑があり、多くのカメラマンが集まる
8.山中湖西岸・花の都公園 大石公園とならび、山中湖周辺の撮影ポイント。ソバの白い花を全景にした富士が撮影できる